抗生物質の副作用
言うまでもないことですが、どれほど殺菌力の強い薬でも、ヒトも一緒に殺してしまうなら、ヒトの病気の治療には使えません。
「菌に有害、ヒトに無害」―これが抗生物質の基本です。
「選択毒性」と言います。
しかし、この選択毒性は完璧ではありません。
ヒトの細胞も、多少は巻き添えにします。
菌に対しては殺すほど毒性が強く、ヒトに対しては命に別状がない程度の弱い毒性しかない、というのが選択毒性の現実です。
選択毒性に関してもう一つ。
抗生物質はヒトに有益な善玉菌と有害な悪玉菌を区別できません。
ヒトに有益か有害かではなく、菌の生物学的な特徴に応じて、善玉菌も悪玉菌もひとまとめに殺してしまいます。
だから、抗生物質に副作用はつきものなのです。
例えば、腸内細菌(善玉菌)が巻き添えで殺されるために起こる下痢、膣内のデーデルライン菌が殺されるために起こるカンジダ膣炎などはありふれています。
もう少し珍しい副作用として、薬疹(薬の副作用による湿疹)、アレルギーショックなどが挙げられます。
これらはどんな抗生物質によっても起こる可能性があります。
また、特定のタイプの抗生物質に特徴的な副作用もあります。
特に、女性で特に気を付けてほしいのはテトラサイクリン系と呼ばれるグループの薬です。
妊娠初期に妊娠に気づかずにこの薬を飲むと、胎児の骨に異常が生じることがあります。
このようなことを考えても、抗生物質は「風邪っぽいからちょっと抗生物質でものんでおこう」と、気軽に使って良い薬では決してありません。
抗生物質が効かない「耐性菌」の恐怖!
耐性菌とは「薬に耐える菌、薬に抵抗力のある菌、薬が効かない菌」のことです。
抗生物質を使っていれば、いつかは必ずその抗生物質に耐性のある菌が出現します。
言ってみれば、抗生物質に殺されないように、菌たちが強くたくましく進化してしまうのです。
たとえば、淋病の原因である淋菌。
昔はペニシリン系の薬で簡単に治療できましたが、ペニシリン系の薬が手軽に乱用されたため、現在では淋菌の半分くらいがペニシリン系の薬に対して耐性を得ています。
また、ペニシリン系に代わる切り札として使われたニューキノロン系の薬も、やはり乱用のために耐性が発生し、日本国内で検出される淋菌の半分以上はニューキノロン系の抗生物質に耐性になってしまっています。
この淋菌の例からも分かるように、一般に抗生物質が頻繁に使われるほど、耐性菌は短期間のうちに出現します。
どんなに素晴らしい抗生物質でも、いつかは効かなくなる時、つまりその抗生物質の「寿命」が来ます。これを防ぐことはできません。
ただ、耐性菌の出現を遅らせる、抗生物質の寿命を延ばすことは可能です。
それは、抗生物質をなるべく使わないこと、そして本当に必要な場合に必要な量の抗生物質を思い切りよく投与して確実に細菌を根絶やしにすることです。
繰り返しますが、細菌感染かどうか分からない状況、あるいは細菌感染だとしてどんな細菌が感染しているか分からない状況で、むやみに抗生物質を使うのは、耐性菌をはびこらせる原因になります。
それが分かっているからこそ、良い医者ほど抗生物質の投与には慎重です。
ところが、患者さんの中には「気休めでいいから抗生物質を出してください」などと言う人がいます。
抗生物質は気休めで処方できる薬ではありません。
単純な風邪など、明らかに細菌感染ではないと判断できるケースで「とにかく抗生物質をください」と言って良心的な医者を困らせないでください。
また、逆のケースもあります。患者さんの中には、副作用を怖がって、指示された量の半分とか3分の1しかのまない人がいます。
このように細菌を根絶やしにできない量をのみ続けるのは、結果として細菌を鍛える=耐性菌を生み出すことになります。
抗生物質は本当に必要なときに適した量をのむことが肝心です。
決して自己判断で量を加減せず、思い切りよくのんでください。







15種類のコンセプトで貴女にあったお店が必ず見つかる!